11. 内断熱と外断熱、その特徴は

住宅の断熱については「内断熱」と「外断熱」の二つの工法に大別できます。現在一般的に採用されているのは「内断熱」工法です。

内断熱工法は、グラスウールなどの断熱材を、柱や筋交いの間などに施工する方法。低コストであることが最も大きなメリットです。

関連情報*1:内断熱壁工法

しかし、内断熱工法は致命的な欠点も抱えています。柱や筋交いの"間"に断熱材を入れるということは、逆に言えば"柱や筋交いそのもの"には断熱処理をしないということであり、住宅の中に"断熱性能の弱い部分"が生まれてしまうのです(「壁内結露と換気不良を科学する-姿の見えない壁内結露の恐怖」参照)。
具体的には次のような点が、内断熱工法の問題点となります。
  1. 柱の部分には断熱材が入っていない
  2. 断熱材と柱の間には必ず小さな隙間ができる
  3. 筋交いやコンセント、水道配管によって断熱材が入れられない部分があり、断熱効果が低下する
  4. 壁の中に断熱材を入れると、壁内部の空気の流通が阻害される
こうした問題点は壁内での結露発生の原因となり、結果的に住宅の寿命を縮めることになりかねません。

また、外壁に「通気層」を設けることで、水蒸気を外部に排出するという方法を採用している住宅メーカーもあります。これは寒冷地では有効ですが、夏場に冷房が必要な地域では、外気に含まれる水蒸気が室内に入り込もうとして内壁で冷やされ、結露となって付着します。これが「逆結露」で、やはり住宅の寿命を縮める原因となります。

関連情報*2:逆結露 冬の結露と夏の結露

内断熱工法に相対するのが、外断熱工法です。
外断熱工法とは、文字通り建物の外側をすっぽりと断熱材で覆ってしまう工法のこと。そのメリットは、大まかに次の通りです。
  1. 壁内結露しにくい
  2. 断熱・気密処理が簡単で確実
  3. 駆体内部の通風がよい
  4. 建物の熱容量が大きい
4の「熱容量」とは"建物全体が熱を蓄えておける力"のことで、熱容量が大きいほど、暖まりにくく冷めにくい住いとなります。結果的に、外気温に室温が左右されにくいため、冷暖房コストも安くなるわけです。


外断熱工法(外断熱断面図)
日本は高温多湿の気候ですから、冷暖房を考える場合は、このように「結露が発生しにくく、室内温度も均一」という外断熱工法はましさく打ってつけと言えるでしょう。

ところが、こんなに優れた工法なのに、実際に外断熱工法を採用して建てられた住いは、まだ数パーセントしかないようです。その理由は、外断熱工法に使われる断熱材(プラスチック系)が、内断熱工法の断熱材(グラスウール等)に比べて高価であることなどが挙げられます。

しかし、建築時に多少高くついても100年以上も長持ちする住宅と、最初は安くても25年で建て替えなければならない住宅では、どちらが健全でしょうか。これは、日本の住いのあり方そのものに対する問いかけでもあるのです。

外断熱工法とは、単に外壁に断熱材を貼ればいいというものではありません。確かな施工技術と理論的裏付けがあってこそ、本当の外断熱工法が可能になるのです。
そうした条件にふさわしいのが、IBS工法(外壁レンガ貼り外断熱工法)です。これは、断熱材と外壁下地材との複合材にレンガを接着固定することで、壁強度、遮音性・吸音性、耐候性に優れた外断熱工法を可能にしたもの。イザットハウスが開発した独自の工法です。

現在ではこれにさらに改良が加えられ、断熱材・外壁下地材一体式から、各材を分離可能にした方式に変更。リサイクル性、防火性を高めたIBS工法としています。また、素材には、断熱性能が高く、 かつ経年劣化の少ないフェノールフォーム断熱材を採用。さらにフェノールフォームに必要な独自の水蒸気放散層を確保し、独自のオリジナルビス採用などの工夫を施しています。
IBS工法で建てられた住いは、コスト的には多少高価でも、気密性能の高さや快適さでは非常に高い満足度を実現します。住いそのものも、中で暮らす人も、いつまでも健康に過ごせるでしょう。

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