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2010年10月 9日

建築の少しマニアックなお話し-構造編その2

国立店の吉田です。
先日まで「猛暑日」が続いていたと思ったら、急に秋雨前線となってしまいました。
昼夜の寒暖の差に、皆様どうかご自愛ください。
さて、今回はマニアックなお話しの「構造編:集成材」についてです。
まず「集成材とは何?」という方もいると思いますが、「断面寸法の小さい木材(板材)を接着剤で再構成して作られる木質材料。(wikipediaより)」というもので、断面寸法の小さい木材を、乾燥し積層及び繊維方向に張り合わせした構造用集成材です。
メリットとして
?乾燥による変形・割れ等の狂いが生じにくい
?無垢材と比べ強度のばらつきが小さいため設計強度を大きく取れる
?無垢材で取れ難い「大断面」の材がつくれる
といった事から、構造材では土台・柱・梁などで使用する例が多くなっています。

よく「無垢材より集成材を使った方が建物が強くなるのか」といったご質問があります。
「建築材料」の観点より、確かに同じサイズでくらべると、構造計算上、「無垢材」よりも「集成材」の方が材料強度を高く計算できる材が多くなります。そのため、構造材の配置において、部分的には強度が上がるように捉えがちです。

しかし、木造2階建までの「スパン表を基にした選定」や3階建の「構造計算」においては、「材種」に合わせ必要なサイズを決定していく事が基本となるため、強度上、1サイズ大きく配置する無垢材に比べ集成材のほうがサイズを小さくする事が可能となります。建物強度のバランスから必要な分の部材サイズを選定する事より、結果として無垢材より小さいサイズの集成材を使用できるだけで、建物全体の強度は
同じということになります。
ただし、集成材の「強度のばらつきがない」「割れ・狂いが少ない」といったメリットにより「耐久性に連動した建物強度の保持」に関する「信頼性」は高まりますので、広義的には「建物が強くなる」とも云えるかもしれません。
(実際には「無垢材」でも集成材以上に強度のある材料も多いことから、構造計算上の観点と現実では相違があるため、一概ではないとは思いますが。)
また「構造強度」の観点からは、テックワン等の「在来金物工法」の場合に、主要構造部材が「集成材」のため、勘違いされがちです。特殊金物と集成材との組み合わせにより、強い構造としている工法のため、単純に集成材だけで建物が強くなることではありません。
一口で説明できない部分でもありますが、充分に確認が必要な部分と思います。
個人的には、基本的な構造部材に「無垢材」を使用し、吹抜や階段廻りといった大断面を必要とする梁部材に「集成材」を一部利用して「プランの柔軟性・木質感・強度・経済性・耐久性・デザイン」を両立しながら充分な建物強度を確保していく考え方が、一番自然だろうと考えています。

ブログ投稿者
店長:吉田浩一
1969年3月18日生まれ
趣味:楽器演奏(サックス、キーボード)、有名建築の見学
出身地:茨城県稲敷郡阿見町

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