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マニアの扉~家づくりのサイエンス~

当は怖い、結露の話

結露の正体は何か

夏、グラスに冷たい飲み物を注ぐと、外側がまるで汗をかいたような状態になります。これが結露です。
今や結露は、普通の住宅の家の中でごく当たり前に見かけるようになりました。特に窓ガラス周辺や暖房していない部屋の壁、鏡の表面、鉄製の玄関ドアなどにびっしりと水滴が着いていることがあります。

そもそも結露のもとは、空気中の水蒸気。水蒸気は気温が下がることによって飽和状態になり、結露となるのです。つまり水蒸気のあるところならどこでも結露の発生する可能性があるのです。

温度で変わる飽和水蒸気量

温度で変わる飽和水蒸気量・グラフ

1立方メートルの空気には、気温30度の時は30.4グラムの水蒸気が保有されています。しかし0度まで気温が下がると、わずか4.9グラムの水蒸気しか保有できず、余った水蒸気は水の粒となって漂い、周囲のものに「露」として付着するわけです。

結露発生のメカニズム

では、結露のもとである水蒸気はどこから来るのでしょうか。一つには、高温多湿の風土ゆえに、戸外や床下から侵入してきます。いわば天然の水蒸気です。

それに対して人工的な水蒸気とでも呼びたいのが、生活によって人間が発する水蒸気です。人間そのものが呼吸や発汗で水蒸気を発しているほか、入浴や洗濯、炊事といった家事行動からも多くの水蒸気が出ています。特に冬ともなると、ガスや灯油を燃やしたときの燃焼ガスからも大量の水蒸気が排出されます。

日常生活において発生する水蒸気の内訳
呼吸・発汗 四人で約 4.8リットル
入浴 2.0リットル
炊飯 1.3リットル
その他 2.7リットル

ですから、結露を解決する根本的な策は、空気中の水蒸気を計画的な換気により排出することに尽きるのです。

姿の見えない壁内結露の恐怖

結露は断熱性能が弱く、温度の低いところに集中します。冬にガラス窓の内側にびっしりと水蒸気が付くのも、断熱性能の低いガラスが外気に直接接して冷やされるからです。
かといって「断熱性能を高くすれば結露が起こらないから」と壁や床下に断熱材を大量に入れたりすると、今度はその断熱材の中で結露が発生するという事態になってしまいます。これが壁内結露です。

断熱材を簡単に通過する水蒸気

断熱材を簡単に通過する水蒸気
また、繊維系断熱材の外壁に水蒸気を外に出すための通気層を設けることがありますが、エアコンを使うのが当たり前の様になっている現在では、夏に結露の発生するリスクが高くなります。というのも、夏は外より室内が冷えているため、通気層から侵入した水蒸気が室内側の壁の内側で冷えて結露となってしまうからです。これが逆結露と呼ばれる現象です。

壁内や床下などの目に見えない場所に生じた壁内結露は、内部でカビ、ダニを発生させ、ひどいときは土台部分などを腐らせてしまうことになります。土台が腐朽することになってしまったら、いかに地震や台風に強い家をうたっていても、間違いなく崩壊してしまいます。
結露というのは、目に見えないところで発生しているものほど、怖いと言えます。

逆転結露

温度で変わる飽和水蒸気量・グラフ

断熱材から水蒸気を放出するための通気層が、夏には外部から水蒸気を侵入させる働きをしています。侵入した水蒸気は屋内の冷房によって冷却され、防湿層に壁内結露を発生させます。これが逆転結露と呼ばれる現象です。