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マニアの扉~家づくりのサイエンス~

正しい換気の実現を【計画換気】

正しい換気で快適な空気を


気密性が十分に保たれ、換気もしっかり行われている家は、想像以上に快適です。ここでは湿度は高すぎず、低すぎず、一年中良好です。

湿度が高すぎず、低すぎずという状態は、健康面からも大切です。例えば湿度が高いとカビやダニが繁殖しますし、湿度が低すぎると肌は乾燥して皮膚疾患にかかりやすくなり、ウィルスの繁殖力も高まります。ダニは湿度60パーセント以下で繁殖力を失いますし、カビも胞子を放散することができなくなります。
こうした健康な住宅を実現するために必要なのが、計画換気です。

計画換気とは、常に外気の出入り口を明確にして、必要量の新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気を排出し続けるシステムのこと。この換気システムを効率的に働かせるためには、住宅が「高気密」であることが重要なポイントになってくるのです。気密性の高い家では、少ない換気量で効率的な換気が実現します。

今の日本では住宅に高気密が必要であるとか、換気が重要であるという認識はまだ一般的ではないかもしれません。しかし、正しい計画換気は住宅の寿命を長持ちさせ、住む人の健康も守ってくれるのです。その事実について、ぜひ認識を新たにしていただければと思います。

相対温度と微生物繁殖の相関関係

相対温度と微生物繁殖の相関関係・グラフ

上の図は、相対湿度と微生物等関係を表したもので、赤色部分の幅が広いほど、左の項目の活動が活発になったり、症状が悪化したりします。冬に風邪をひきやすいのは、風邪のウィルスは湿度が低くなるほど活発に活動をするからです。カビとダニの項目を見ると、湿度が高いほど活動が活発になる事が分かります。一般的に温度が18C°以上、湿度が70%以上になるとカビやダニが繁殖しやすくなり、さらに湿度が80%を超えると腐朽菌が盛んに活動をはじめるとされています。

すべての住宅に換気設備を義務づけ

ご存知でしたか? 改正建築基準法の施行により、2003年7月1日以降着工の新築住宅には、24時間計画換気の設備の設置が義務づけられたのです。
この目的は、シックハウス対策にあります。改正建築基準法では「有害物質の使用規制」と「機械換気設備の義務化」が大きなポイントとなっており、特に換気の義務化はすべての住宅が対象といっても過言ではありません。違反すると30万円以下の罰金が科せられることになっています。

24時間計画換気とは、自然に任せる自然換気ではなく、換気扇など機械による強制換気のこと。台所、浴室、トイレなどの部分換気だけではダメで、居室を含めた家全体の換気が義務づけられています。
換気設備の設置とともに定められた「有害物質の使用規制」については、建材の接着剤に使われるホルムアルデヒドなどについて、使用規制が盛り込まれています。

気密化の一方で絶対に必要となるのが計画換気。その普及に向けて一歩前進したわけで、現在の住宅に対する換気の義務化は大いに歓迎したいところです。しかし、気密性といった概念を持たない一般の住宅に換気装置を設置しただけでは、十分な換気が行われないことは、いまだに建築関係者の間でさえ十分に知られていないのです。

発煙時 5分後 15分後 30分後 1時間 2時間後
発煙時 5分後 15分後 30分後 1時間後 2時間後

計画換気には三種類あります

計画換気の方式には、第一種(同時給排型)、第二種(加圧排気型)、第三種(減圧排気型)の三種類があります。現在日本で高気密な住宅に使われているのは、第三種が多いようです。
第三種の換気システムは、一台の換気扇から分配したダクトで、必要部位別から設定した排気量に基づいた排気を行うものです。取り入れた空気は、居室からドアの下のアンダーカットを通り、廊下などを経て、トイレや浴室などから排気されます。

この第三種の換気システムは、気密性能の高い家ほど効果的であり、気密性能が低い家の場合は第一種が効果的でしょう。なお、第三種の換気の場合、トイレや浴室などに個別換気扇を設けると、個別換気扇の停止時にはこれが給気口になってしまって、全体の換気効率が落ちてしまうので注意が必要です。

換気の種類

第三種換気・図第二種換気・図第一種換気・図

第一種換気
隙間の多い住宅を機械換気する際に有効な換気システム。給気、排気ともに強制ファンを用いる方法。室内は等圧になる。
第ニ種換気
給気を強制ファンで、排気は自然排気で行う方法。室内は加圧状態になる。
第三種換気
排気を強制ファンで、給気は自然給気で行う方法。室内は負圧状態になる。