床下湿度
外気と床下の湿度変化
一般住宅の床下湿度と、イザットハウス・ランシングIIのように適切な床下換気のもとに通気口を持たない住宅の床下湿度(高気密住宅床下)を比較してみると、一般住宅の床下は外気湿度の変化に大きく影響され、雨が降れば一般住宅の床下は簡単に湿度100%になってしまうことがわかります。このような環境ではむしろ外気を取り込まないようにすれば床下の湿度はほぼ一定に維持することができるのです。
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地面に最も近く、常に湿気にさらされている床下。その断熱は、健康な住宅を実現するためのポイントの一つです。
床下の断熱方法には「床下断熱」と「基礎断熱」の二つに大別できます。
床下で断熱を施す「床下断熱」
1階の床のすぐ裏側に断熱材を施工する方法で、現在最も広く普及しています。風通しをよくするために床下換気口が設置されます。
しかし「施工によって性能に差が出やすく、欠陥や断熱性能の不足が起きやすい」「十分な換気量を確保しないと、結露やカビが発生する」といったリスクを持っています。
基礎自体を断熱する「基礎断熱」
建物のコンクリート基礎そのもので断熱する方法です。密閉するため、いわば"床下も室内"のような状態となります。当然、床下換気口はありません。
メリットとしては「施工が簡単」「床下の土を利用するので熱容量が大きい(蓄熱などに利用できる)」「床下換気口がないので外から湿気を取り込まない」「床下を収納庫などに利用できる」といった点です。
外気と床下の湿度変化
一般住宅の床下湿度と、イザットハウス・ランシングIIのように適切な床下換気のもとに通気口を持たない住宅の床下湿度(高気密住宅床下)を比較してみると、一般住宅の床下は外気湿度の変化に大きく影響され、雨が降れば一般住宅の床下は簡単に湿度100%になってしまうことがわかります。このような環境ではむしろ外気を取り込まないようにすれば床下の湿度はほぼ一定に維持することができるのです。
これは、周りの建物の建ぺい率によって、室内を通り抜ける風速がどのようになるのか、シミュレーションを行ったものです。この図のように、周りに建物が全く無い状態(建ぺい率 0%)では室内に気流が見られますが、周りに建物があるほど(周辺建物の建ぺい率が大きくなるほど)室内に空気が流れにくくなり、この例では建ぺい率40%でほとんど気流がありません。現在、住宅地の多くの地域は建ぺい率 60%前後ですのでこのシミュレーションよりもさらに条件は悪くなります。また、この研究は1階窓の高さでのシミュレーションですが、風は一般的に高さが低くなるほど弱くなりますので、床下ではこの例より、さらに風速は弱くなります。
高温多湿の日本では、いかに風通しをよくするかが住いづくりのポイントでした。特に床下は家の中で一番温度が低い場所なので、湿気が溜まってしまいます。ところが現在の住宅では、ごく小さな床下換気口を設けてあるだけ。これでは十分な通風は確保できません。
それどころか、逆に外の湿気を取り込む役割を果たしているほどです。例えばノリや煎餅を缶の中にしまうとき、穴が空いていたら湿気てしまいます。空気の出入りがないように、しっかり密閉するのが常識でしょう。これと同じ理屈で、現在の日本の住いは、小さな床下換気口を設けているために湿気を取り込むことになってしまっているわけです。
では床下換気口をなくしてしまえばいいかというと、そう単純ではなく、現代のライフスタイルでは家の中に大量の水蒸気が発生しますから、それを床下からも逃がしてやる工夫が不可欠となります。
従ってベストの方法は、床下換気口は設けずに完全に密閉して外気を入れないようにし、その上で強制的に湿気を排出する計画換気システムと床下除湿を採用するということになります。
床下に溜まった水蒸気を速やかかつ確実に排出するためには、床下除湿機が最適です。これはノリを入れた缶の中に乾燥剤を入れるのと同じ理屈です。イザットハウスが採用している床下除湿機は、床下の湿度が70%以上になると自動的に除湿を始めます。
建物全体の熱流出入の15%を占める屋根。建物の断熱性能を高める上で屋根への対応は大きなポイントです。
屋根の断熱方法には「天井断熱」と「屋根断熱」の二つに大別できます。
天井面で断熱する天井断熱
天井の上に断熱材を乗せたり葺いたりするもので、一般的な工法です。天井面積分だけを断熱すればよいので、施工が楽な上に経済的。また、断熱材を簡単に厚くできます。小屋裏は断熱材の外となり、外気が入ってくるので屋外と同じなります。
欠点としては「天井と外壁、天井と間仕切り壁などのつなぎの部分が空隙で、壁内に気流が発生し、十分な断熱効果が得られないこと」「断熱材そのもの性質によって結露が起こるので、断熱材の内側にも防湿処理が必要なこと」などが挙げられます。また、夏場の温暖地では、断熱材の内部に熱がこもり、二階の部屋は暑くてたまらないといったことも起こります。
屋根面で断熱する屋根断熱
屋根の野地板を二重にして、屋根材の直下に通気層をとり、野地板のすぐ裏側に断熱材を張る工法です。小屋裏は断熱材の内側となるため、サーマルブリッジが極めて小さく、結露が起こりにくいという特徴を持っています。また、室内側は屋根面まで吹き抜けにでき、小屋裏にロフトをつくることも可能です。
さらに、屋根面の日射熱はその裏側の通気層で効率よく排熱されるため、2階天井も表面温度が上がらず、快適な冷房環境がつくり出せます。
短所としては、複雑な屋根は施工が困難なことや、屋根を二重にする、断熱面積が大きいなどで高コストとなることなどが挙げられます。
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午後2時 外気温32C° | 午後6時 外気温27C° |
※小屋裏・天井表面・室内温度の差に注目
(福岡大学工学部建築学科 須貝研究室資料より)
「屋根断熱」の場合は、屋根面の日射熱はその裏側の通気層で効率よく排熱されるため、2階の部屋でエアコンを使用している場合の小屋裏の空気温度は、外気温度マイナス2-4度程度に留まります。
サッシの材質と表面温度
結露問題を考えると、一般的なアルミ製よりもPVC(樹脂)製、PVC(樹脂)製よりも木製のサッシが断熱性能に優れているのです。