建築のマニアックなお話し−ZEH編その2「ZEHに必要な仕様」

国立店、吉田です。前回に引き続き、「ZEH編」となります。

今回は、ZEH対応に必要な「仕様」や「条件」について、お話しいたします。

1、ZEHに必要な「仕様」

「仕様」というと分かり難いと思いますが、構造材や外装・内装等に使用する部材・材料、建築工法、付帯する住宅設備など、家を造るにあたって必要な部材の品番や品質・程度を示すものです。

まず、ZEHに必要な仕様として、

1)外皮の高断熱性能:強化外皮基準(H25年省エネ基準、かつ、UA値の基準値)を満たす。

・建物全体を一つの箱と捉えて、屋根(最上階天井)、外壁、基礎(1階床下)、外気に接する床下などに、必要な断熱性能を確保した外皮(断熱層)を構成する。(建築工法及び断熱工法により、部位ごとの必要断熱材厚は違う。)

・高断熱サッシ  → サッシ種、ガラス種、サッシ面積などにより、開口部熱損失は変動する。

・防露・気密対策 → 結露発生防止や気密性確保が必要となっているが、明確な数値的基準や仕様規定は現状無し。

・床下等の気密措置 → 気密性能及び工法等により、熱損失は変動する。

※一次エネルギー消費量計算などの一定の計算根拠が必要となる。

2)夏季の日射遮蔽・通風、冬季の日射取得・蓄熱の利用 → 現状、全項目が必須ではないが、一次消費エネルギー量削減に寄与。

・夏季:冷房期の日射遮蔽(深い軒や窓庇、日射遮蔽ガラス、窓前の植栽(落葉樹)、外部ブラインドなど) → 地域により日射熱取得率に関連。

・冬季:日射からのエネルギー取得、蓄熱システムなど。 → 必須項目ではないが、評価される項目である。

3)高効率な住宅設備

・冷・暖房設備 → 基準を満たす省エネタイプのエアコンなどが前提。よって主な居室に古いエアコンは使えない。通風・蓄熱・床下換気の有無により熱損失量は変動。 

・換気設備 → 熱交換の有無により熱損失量は変動。

・給湯設備 → 高効率型ガスボイラー(エコジョーズ)やエコキュートなど。配管方式・水栓の節湯種類・高断熱浴槽の有無により熱損失量は変動。

・照明器具 → LEDが事実上前提。多灯分散や調光機能・人感センサーの有無により熱損失量は変動。

4)再生可能エネルギー発電システム

・ソーラー発電 → 最も一般的で、かつ現実的なシステム。蓄電システムの開発・普及が今後の課題。

・コージェネレーションシステム → エネファームやエコウィルといったガスを利用する家庭用システムが出されています。まだ導入金額が非常に高く、設置位置の制約や発電性能などの理由で、まだ一般的な普及に至っていない。

が挙げられます。

これらの組み合わせで、一次エネルギー消費量計算を行い、基準の要件に適合しなければなりません。当然、敷地条件、間取りや窓・外観によって外皮性能は変動しますので、断熱材の種類・厚みや住宅設備の省エネ性能での調整が必要となります。一口で何を設置すれば「ZEH化」という訳でないため、一般の方には分かり難い内容かもしれません。

次に、

2、ZEH化の「条件」

1)ZEHの根拠となる「一次エネルギー消費量計算」が必要。

・各戸ごとに「一次エネルギー消費量計算」を行い、基準値以下を満たしていることを、計算によって証明しなければならない。

・外皮計算の根拠となる断熱材やサッシの資料、設置した住宅設備の性能を表す資料など、計算に必要となる添付資料が必要となる。

・再生エネルギーを除いた一次消費量の削減量と再生エネルギーを加えた一次消費量の削減量の両方で、基準を満たさなければならない。

→計算前(設計段階)において、断熱材仕様、浴槽や各水栓、エアコン等の冷暖房設備、ボイラー・エコキュート等の給湯設備、ソーラー発電システム等の発電設備の品番・性能が決定されていなければならないこととなる。※計算後においても品番や仕様の変更は可能だが、再度計算が必要。ただし、以前と同じか、より良い変更が求められる。(申請後は特に)

→外皮性能と再生エネルギー発電性能、及び、要望・コストとのバランスが必要となる。

2)ZEH性能の格付け(評価、認定(申請)等)が必要。(※現状は、補助金認定申請に関連するもののみ)

・現状は、「ゼロエネルギー住宅」「認定低炭素住宅」「性能向上計画認定」等の支援・認定事業と並行する形で、登録ビルダーによるZEH支援(補助金)事業に必要な評価・認定・申請となっているが、2020年以後の支援事業の詳細や、事業終了後の評価・認定方法についての発表はありません。

となっています。

「2020年に過半数のZEH化を目指す(推進する)」すると掲げています。詳細については、これまでの「ゼロエネルギー住宅」の延長線上の内容であり、支援・補助事業となっています。2020年以後の支援事業の有無や支援事業終了後の申請方法の詳細、税制優遇の有無などの詳細は「何ら触れられていない」というのが実態のようです。

次回は、ZEHの「制約と問題点」について。

建築の少しマニアックなお話し-ZEH編その1-「ZEHって何?」

国立店吉田です。

更新がままならず、しばらくご無沙汰をしておりました。また、再開いたしますので、引き続きお付き合いいただけたらと思います。

当面は、今、話題の「ZEH(略称ゼッチ)-ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」について、お話ししたいと思います。今回は、「ZEH」の内容から。

まずは、「ZEHってそもそも何だろう?」と疑問を持たれている方も多いかと思います。

「外壁の断熱性能あげればいいんじゃね」とか「サッシ断熱の良い物つければいいんじゃね」、「ソーラーつければいいんじゃね」などなど「〜的」な話しが多くて、実際何をどうすれば良いのか、意味不明な方も相当いると思います。

そもそもは、

 国で決定された2014年のエネルギー基本計画において、「2020年までに標準的に、2030年までに新築住宅の平均でZEHを目指す。さらに環境整備を進めながら、段階的に省エネルギー基準の適合を義務化する。生活の質を向上させつつ省エネルギーを一層推進する(抜粋、一部略)」となっています。

つまり、2020年までにZEHの仕様(断熱など)の標準化を図り、新築住宅の過半数を「ZEH化」する。そのために、状況を踏まえて基準適合を「義務化」する、という内容です。

 更に、ZEHロードマップ検討委員会では、「ZEH」を「外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能なエナルギーにより年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスとする住宅」と定義しました。

具体的には、

1、年間の一次エネルギー消費量の削減

1)高断熱化した「外皮(外壁・屋根・床下・サッシなどの外回り断熱層を指す)」による、外部へのエネルギーロス(熱損失)の低減。

2)夏季の日射遮蔽・通風、冬季の日射取得・蓄熱など、「自然エネルギー」の夏季軽減、冬季積極利用。

3)高効率(=エネルギー消費量を低く抑える)住宅設備機器の使用(冷房・暖房・換気・給湯・照明器具・他)

→外皮平均熱貫流率(UA値)の各地域の基準値以下を満たし、再生可能エネルギーを除く基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減

2、再生可能エネルギーを自己で生産する設備の導入

1)ソーラー発電設備の導入

2)コーンジェネレーションシステムの導入

3、1と2の組み合わせで、住宅1軒単位での「一次エネルギー消費量の収支をゼロ(差し引きゼロ)以下」

→再生可能エネルギーを加え、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減

が必要な仕様となっています。

 また、都市部においては、敷地の狭さや建物密集具合・方位・屋根面積により、ソーラー発電システムが一次エネルギー消費量に見合う十分な発電量を確保できない場合も想定されます。そのため、「Nearly ZEH(ニアリーZEH)」という別基準を設けています。これは、発電量が見合わなくても、「再生可能エネルギーを加え、基準一次エネルギー消費量から75%以上の一次エネルギー消費量削減」ができればOKとする内容です。ただし、再生可能エネルギー設備の導入が必須です。

「ZEH」と「Nearly ZEH」は、どちらも「ZEH」ですので、敷地条件や建物概要により「仕様の選択」が必要となります。

 「高断熱化」して「高効率型のエアコンやボイラー」を付け、屋根に「ソーラー発電システム」をのせれば「ZEH」となるように思えますが、事はそう簡単ではないです。内容を掘り下げてみると、生活スタイルや間取りとも密接に関連していますし、付近の建物密集具合や方位・屋根形状によってはソーラーをのせても低効率の場合もあります。ZEH化のために、自分の望んでいたライフスタイルや間取り・イメージが実現できないということもあり得る訳です。

では、実際、どのように考えれば、「暮らしやすい我が家」を目指しつつ「ZEH対応」になるのかを、次回以降、お話し致します。

ブログ投稿者
店長:吉田浩一
1969年3月18日生まれ
趣味:楽器演奏(サックス、キーボード)、有名建築の見学
出身地:茨城県稲敷郡阿見町

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